ほらり

マシュー・ジョセフ・オーレン:やりがいを求めて、日本で英語の先生に

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約8分

ALT(外国語指導助手)として、6年前に別海町に着任したマシュー・ジョセフ・オーレンさん。ALTのお仕事や、来日3度目となる別海町での生活、休日の過ごし方などをお聞きしました。

——自己紹介をお願いします。

マシュー・ジョセフ・オーレンです。アメリカ合衆国デラウエア州出身で、別海町にはALTとして6年前に着任しました。日本で暮らすのは、別海町で3回目になります。

——日本に来たきっかけはなんですか?

大学時代に1年間、留学で来日したのが最初です。留学先は福岡市にある西南学院大学で弓道部に所属して毎日弓道の練習をしていました。すごく楽しかったです。別海町でもやりたいけど弓道場がないのが残念です。留学中に色んな所に旅行もして、大体、神戸に1か月、仙台に1か月、そして福岡に10か月いました。

——留学が終わった後、すぐに日本に来たのですか?

アメリカの大学を卒業後3年間、銀行に勤めてクレジットカード関連の仕事をしていました。朝から夕方までずっとPCに向かって仕事していて、誰とも話さないし、自分が何もしていない気がしていました。だんだん「働く意味がない」、「違う仕事をやってみたい」と思っていた時、日本での留学が楽しかったことを思い出しました。

もう一度日本に行くことを決め、ALTとして北海道の空知管内にある奈井江町に行くことになりました。それが2回目の来日になります。

奈井江町で4年間暮らした後、一旦帰国して別海町に来ました。奈井江町での生活がとても良かったので、もう一度日本で働きたいと思ったからです。ALTの審査に合格して1か月後に「別海町に行ってください」と連絡が来ました。僕は「BETSUKAI?」と驚きました。北海道の中の自治体を希望していましたが、僕には地域を選択できなかったですし、今まで聞いたことがなかった町の名前を聞いて、とてもビックリしました。

——別海町の印象はどうでしたか?

Googleで調べて牛がいっぱいいるとしか分かりませんでした。別海の最初の印象は「牛」と「(面積が)でっかいな」と思いました。日本はカリフォルニア州と同じぐらいの広さだけど人がいっぱいいて、あまりスペースがない感じがするけど北海道は反対。特に別海は本当に違う。色んなパンフレットを見て、牛が人口の7倍と聞いて「オーマイガー!」。そんな感じでした。

別海町に住んでからのイメージは「やっぱり牛がいっぱいいる!」と思いました。自然がいっぱいあって嬉しいです。野生動物がこんなにいるとは知らなかったので、キタキツネやエゾシカ、丹頂鶴を見た時は本当にびっくりしました。すごく珍しい動物だからね。あとは町の人達がみんな優しいし、温かいからとても嬉しかった。田舎だけどすごく住みやすいと思います。それはパンフレットやGoogleではわからないから本当に嬉しかった。

——別海町でのお仕事について教えてください。

ALT(外国語指導助手)として町内の小中学校に行って、主に英語の授業の補助をしています。小学校では英語を使ったゲームやテキストの読み上げを通して、発音、コミュニケーションなどを教え、中学校では、それに加えて会話や文法を教えています。どちらも日本人の先生がメインで教えていて、僕はそのお手伝いをしている感じです。

小学校の3、4年生は最初に触れ合う外国語として、アクティビティーや英単語を学びます。宿題や試験はないので難しくはないと思います。ゴールは、英語に少し慣れることと、外国と日本の文化の違いを知ってもらうことになります。5、6年生になると教科書は少し難しくなります。試験はあるけど宿題はないので、他の科目のレベルとは違うと思います。中学校では他の科目と同じように、試験や宿題のある授業となるのでみんな真剣です。教科書は難しくなるけど、授業の基本的な進め方は小学校と大体同じなので中学1年生にはしっかりとサポートしていきたいと思います。

それから、令和4年度から町立幼稚園にも行くようになりましたが、コロナもあってまだ3つの幼稚園に2回ずつしか行くことができていません。でも、幼稚園に行くととても楽しいです。園児達は僕たちにとても興味を持ってくれていて、いつも質問攻めにあいます。その質問は、「好きな花は?」とか「好きな乗り物は?」など。すごくかわいいです。

——ALTのやりがいや楽しいと思うときを教えてください。

英語を教えて、子どもたちが「うん!わかる!」という表情をしてくれた時が一番嬉しいです。他には、カリキュラムを通して、英語が上手になってる姿を見たり、自信がついて堂々と英語を話すようになるのを見たりするのは本当に嬉しいです。英語を教えるのは、その意義を子どもたちがまだ理解していないから難しいところもあるけど、授業を通して英語の楽しさをわかってくれたら嬉しいと思います。

——英語の授業以外ではどのような活動をするのですか?

体育の授業の中で、僕が子どもたちにアメリカのゲームを教えて、子どもたちが僕に日本のゲームを教えてくれて異文化交流のようにしたり、美術の授業で一緒に粘土の作品を作ったりしたことがあります。学校祭に参加したこともあるけど、催し物の練習時間が取れないのでその1回きりです。

あとは、中学校によっては体育館で子どもたちと遊んだりもしますが、小学校では授業の合間に打合せをするので、あまり時間がなく一緒に遊ぶのは少ないです。基本的に担任の先生がすべての教科を教えるからね。

——ALTをしていて別海町ならではと感じるところはありますか?

別海町の中でも各地域で違う雰囲気があります。それはびっくりしました。西春別駅前は自衛隊の家族が多くて、尾岱沼は漁師町なのでまた雰囲気が違う。それぞれの地域にしっかりと個性があって、子どもたちと関わっていてもそう感じます。

——休日の過ごし方を教えてください。

ドライブが好きです。北海道はどの季節も景色が綺麗だから、コロナ禍前には、知床や富良野のラベンダー畑、函館にも行きました。アメリカとの文化の違いが感じられるお祭りも好きで、雰囲気や音楽、パフォーマンスも全部好きです。印象に残っているお祭りは姫路の夏祭りと、ものすごく寒かったけど、さっぽろ雪祭りです。でも、ローカルなお祭りや神社祭りにも興味があります。地域のチャームポイントを知ることができて楽しいです。

——別海町に来てから始めたことはありますか?

一度だけハイキングをやってみましたが、ちょっと迷子になってしまいました。別れ道を間違えて1時間半ぐらい進んでしまい、「あれ?おかしい?」と気付いたのです。携帯の電波がなくGoogleマップも見れなくて仕方なく引き返してきました。それからは、やっていません(笑)。他には、アウトドアのアクティビティー全般に興味があります。特にフィッシングはまだやってないので、ぜひやってみたいと思っています。

——別海町の好きなところ、よく行くところ、好きじゃないところを教えてください。

別海町で大好きなところは野付半島。今でもよく行きます。コロナが始まる前は、アドベンチャースクール(中央公民館事業)で小学生20人ぐらいと一緒に自然の中を歩いてゴミ拾いをしました。日焼けが酷かったけどいい思い出です。

あとは町民体育館。去年、肩を痛めるまでは週に2、3回ぐらいトレーニング室に通っていました。春になったらまた行こうと思ってます。去年、パイロットマラソンの5㎞の部に出場したけど、実は一番遅かったのです(笑)。僕の前の人は15分ぐらい早くゴールしていて状況が全然わからなかったのですが、ゴールのあるスタジアムに入ったら大勢の子どもたちから「マシュー!」と大声援!僕は「え?どうしたの?僕だけ?オーノー!」と思いました。まだ決めてないけど、できたら今年も出場したいと思っています。

好きじゃないところは、電車がないところかな。厚床(根室市)から電車があるけどすごく時間がかかるし、札幌とか旭川まで遠いからなかなか行けないのが唯一好きじゃないところかな。

でも、なんと言っても自然がある。美しいし、動物がいっぱいいるのが素晴らしいと思う。窓から見える自然がすごくいい。住みやすいし、ストレスダウンできる。

——冬の生活について教えてください。

以前住んでいた奈井江町では雪が多かったけど、別海町は少ないです。でも、氷はヤバイ(笑)。今朝もすごく滑りました。雪が降っても車の運転はスタッドレスタイヤだから大丈夫だけど凍結は怖いです。雪はもっと降ってほしいと思っています。現在住んでいるアパートは大家さんが除雪してくれるので大丈夫です。奈井江町に住んでいた時は毎日除雪していたので大変でした。ママさんダンプ※が大好きでしたよ。すごく便利でした。

※ママさんダンプ:別名はスノーダンプ。大型の角型シャベルにパイプの持ち手が付いたような形状で、ソリのように雪を押して運ぶことができる除雪用具。

——今後チャレンジしたいことはありますか?

もう一回山登りにトライしたり、流氷を見たり、知床クルーズでクジラやシャチの見学に行きたいです。旅行をもっともっとしたいですし、いろんなお祭りめぐりもしたい。

——最後に、移住を検討している方に向けて一言お願いします。

別海町は、食べ物が最高!乳製品もベスト!新鮮な魚介は本当に最高!アウトドアはなんでもできるし、自然が好きだったら別海町は最高です!

取材日:2023年3月10日
取材場所:別海中央小学校
インタビュー・文:菊地裕樹、松本純一
写真:NAGI GRAPHICS(過去の画像は本人提供)
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